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【痛覚の不思議/書評】無痛分娩の賛否議論を終わらせた流れの話がおもしろい


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Kくん

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はじめに

「痛み」に焦点を当てた同書籍、その中でも一章の「痛いとはどういうことか?」にて示唆に富んだ内容がいくつかあったのでフィードバックも兼ねてメモを残しておきます。

痛みはよくできている

「人間は内臓を切られても痛みを感じない」という衝撃的な一文があり、実際に消化管を切断したり電気を与えても痛覚は生じない模様。じゃあ何をしても大丈夫か?と言うとそうではなく、強く収縮したり急激に強く伸展された場合にはしっかり痛むんだとか。例えば、腸閉塞のような危険な状態になると腹膜炎につながるからかきちんと痛みを感じるよう・・といった感じ。

要は人間の身体には「危険を知らせるために」痛みをきちんと認知する機能が備わっていて、この部分が弱い人は早死にしてしまう・・という話もあり、痛いってありがたいんだな~と思いました。

麻酔に感謝

そんな痛みですが人工的に和らげる効用を持つのが麻酔技術で、麻酔が利用されたのはたった200年前から・・とのこと。現代でもよく聞く「無痛分娩」ですが、これも脊髄と呼ばれる痛みを伝える神経の近くに麻酔薬を投与することで痛みを軽くします。

ここでもおもしろい話があり、当時の西欧では出産における痛みを和らげることは「神の意に反する」という訳のわからない論争があったようで賛否両論喧々諤々だったものの、当時の女王であるビクトリア女王が無痛分娩を採用したというニュースが広がると「無痛分娩もいいよね」と一夜にして変わったんだとか。

そういう意味で、お偉いさんが率先して新しいことにチャレンジすることで皆がそれを受け入れざるを得ない雰囲気を作り選択肢を広げる・・という流れって大事だな~と思いました。

終わりに

同書の中には「我慢できるのは他人の痛みだけ」というかなりユニークな文言があり、その話の流れとして「無痛分娩に反対する男性がいる」という統計情報が挙げられていました。

同書はもちろんサイエンスな書籍なんですが、そういった示唆に富む話がおもしろかったです。