はじめに
2019年に亡くなった瀧本哲史さんという方が東大で行った講義を本にした「2020年6月30日にまたここで会おう」を読みました。
学生の頃に瀧本さんの講義を受けたことがあり、亡くなったというニュースも当時は驚きました。
あらら...「投資家の瀧本哲史さん死去」 https://t.co/n486ppcWau
— 思垢くん@はてなブロガー (@everyday0utput) August 16, 2019
本を読みながら個人的に心に残った節を紹介します。
ちゃんと全部繋がっている
冒頭で以下を述べます。
僕の話は、いきなり脱線したりしますけど、ちゃんと全部繋がっているので、ご安心ください。(瀧本)
これはかっこいい。書籍の中では歴史に基づいたたとえ話などがふんだんに取り入れられていますが、こういう教養力は憧れます。
門外漢のエリアの本も積極的に読まないとな~と考えさせられました。
自分の頭で考えよう
外見だけは人間なんですけど、やっていることは人間以下という人が老若男女問わず世の中にはたくさんいてですね、そういう人たちに早く人間になってくれということです。厳しい事を言うと、自分で考えていない人は人じゃないというわけです。(瀧本)
一見きつい表現ですが、一理ありますよね。こういう厳しい発言は、研究室時代の教授との問答を思い出してしまいます...
言葉の力の例え
明治維新ってあれだけの大きな社会改革だったのに、フランス革命とかアメリカの独立戦争と比べて、驚くくらい死者が少ない革命だったんです。*1(瀧本)
そして、それは討幕派の人々が言葉を使って意見を統一していき仲間を増やしていったことが理由と分析します。
言葉の力を伝えるためのたとえ話として、秀逸だな~と思いました。
若者VS老人で若者が勝つ方法
数字を見てみると、旧世代の方とみなさんのような新世代の方の人口比ってだいたい2:1です。
なので、じつは、旧世代の人をひとり説得すれば勝ちなんですよ。(瀧本)
なるほど~、その発想はなかった。
大阪都構想で年配の方が反対票を投じたこともあって世代の分断が強調されますが、それにモヤモヤしていた時に偶然このような記述があって納得してしまいました。
政治家の名前に一郎が多い理由
簡単な話です。OOの息子と地元の有権者に名前をアピールできるから選挙で通る、というだけの理由なんです。(瀧本)
若者も政治に興味持つの大事だよ~という話の流れの中での脱線ですが、考えたこともなかったので印象に残りました。
薩長同盟関係者の年齢
20代~30代が日本を変えていくですよ、という話の中での例えです。
この、榎本武揚は黒田清隆が引き抜いた人ですよね。ちょうどこの前北海道大学で学んだところなので印象に残りました。
船員になるか船長になるか
ボン・ヴォヤージュって挨拶が結構好きなんですよね。
これはフランス語でよき航海をゆけという意味ですが、もともとは船長同士の挨拶になります。
自分の船を持っている船長っていうのは、リスクを自ら取っている人で意思決定者なんです。
航海において意思決定をする立場にない船員はボン・ヴォヤージュって挨拶をしないんですね。(瀧本)
要は、船長同士は互いに自分の判断でリスクを取っているので「そっちに行くと嵐になるんじゃない?」なんて言わずに「よき航海を」とだけ言いあう、つまり自立した大人同士の挨拶が「ボン・ヴォヤージュ」である、という話。
自分の人生を決めるのは他人じゃなくてあなたなんだよ、という当たり前のメッセージもこの例えのせいか沁みました。
終わりに
2012年の講義で、ぜひ2020年6月にまたここで集まって自分に何ができたかを報告しあう場にしましょう~と締めるも本人は帰らぬ人になってしまったという。もう二度と瀧本先生の発信は聞けませんが、本書籍を読むと自分の中の挑戦欲がくすぐられると思います。
講義を文字おこししているものなので、読みやすくて良かったです。