はじめに
「登園後、バスに置き去りか 泣き崩れる母「返して」福岡5歳児死亡」というショッキングな見出しの記事が注目を集めています。(SNSでも「送迎バス」がトレンド入り)
要点としては
- 29日朝、自宅近くに迎えに来た園長運転のバスで子供を登園させる(午前8時半頃に到着)
- 夕方、バスの乗降場所に迎えに行った母親は園職員に「冬生君は来ていませんよ」と告げられる(午後5時15分頃)
- 冬生ちゃんが園のバス内で意識不明で見つかり亡くなっていた(午後1時頃と推定)
なんとも痛ましい事件。
ニュースの中身とネットの反応
現在、県警は園の職員が園児をバスに置き去りにした可能性があるとして業務上過失致死容疑を視野に園から事情を聴いているとのこと。そして母親は「本当は預けたくなかったが仕事があって仕方なかった。預けてしまった私のせいだ」とコメントしているんだとか。お母さんは悪くないよ...
そして園側は30日朝にバス送迎が行わずに保護者らがそれぞれ園児を送り届けているという状況で、取材に応じた保護者は「園からは『ご迷惑かけて申し訳ない』という趣旨の話があったが、それ以上詳しい説明などはない」と釈然としない様子を報じています。
これに対してネットのコメントは
普通保育園でも出席の確認はするだろう。欠席の連絡もなく、登園していないのなら親御さんに連絡するのが当然の責任。こんな保育園は即刻認可を取り消すべき。
この保育園の管理体制はどうなってるんだよ。
バスでの送迎後の安全確認もそうだけど、夕方親から連絡があるまで登園しているかわからない、気付けないなんてありえない。
と保育園側や職員に対して批判的であることが分かります。私もそれに概ね同意しています。
それでも思うこと
システムトラブルと一緒で、この手の問題は仕組みを変えないとまた起こると思うんですよね。
むしろそこを感情的に糾弾して「じゃあ送迎は今後は親御さん側でお願いします」となってしまうと誰もハッピーにならない結末になってしまう。
というのも誤解を恐れずに言えば、老人ホームや幼稚園という場所は自宅で面倒を見ることが大変なので代わりにプロに預かってもらう施設という側面は少なからずあると思っています。
であれば今回の事件でバスの送迎がストップしている現状に「こんな体制で運用されているバスに怖くて乗せられない!自分で送ります」という人だけではなく「今後は降りる時に残っている人がいないかチェックする仕組みを入れて引き続きバス送迎をお願いしたい」と思っている人もいるのではないでしょうか。ちなみに私にも似た施設に通っている近親者がいますが、やっぱり送迎は保護者からするとありがたいんですよね。
脱ガソリンってそんなに大事なんかな。幼稚園の送迎バスや老人ホームの送迎バスが無理なく運用される方がよっぽど大事と思ってしまう。
— 思垢くん (@e_output) December 9, 2020
というわけで、当事者の保護者が悲しみ,怒り,訴えを起こすことは当たり前の感情と思いつつ、外野は一歩冷静にどうすればこんな悲しいことが無くせるかを一生懸命考えてあげることが大事であり、そうでもしないと亡くなった子が浮かばれない。それこそ降車後の児童の確認と言った安全面で最終担保を取るワークが足らないなら、コストを増やしてスタッフを増やすなどしないと現場の心優しい保育士さんのワークに依存し、結果的に不幸な現場になるだけではないのかと考えてしまいました。
終わりに
この悲しいニュースに老人ホームでおやつを与えると喉につまらせて亡くなってしまった事件を思い出してしまいました。
「降りた後にチェックくらいしろよ」「喉につまる可能性があるものを食べさせるなよ」というのは、もちろん其の通りなんだけどそれだけ言っても仕方がない。
これらを事故を施設の方がわざとやったとは思えないし、送迎を廃止するという方向で困る人がいる以上は、安易に個人/施設を攻撃してもしょうがない。人を増やすであったりバスの入口に入退室数をカウントする装置をつけるなど、無理のない運用でこのような事故が今後一件でも減らせていけることを願っています。