思垢メモ
経験したこと、感じたこと





ジョジョラビットが微妙だった


ジョジョラビットの感想

以下はあらすじ。

第二次世界大戦中、孤独なドイツ人少年のジョジョは周囲からいじめられており、イマジナリーフレンドのアドルフ・ヒトラーのみが救いだった。ある日、母親が屋根裏にユダヤ人の少女を匿っているのを発見したことから、政治的な考えが変わり、ヒトラーナショナリズムに向き合うことになる。

2019年トロント国際映画祭の観客賞を受賞した本作品ですが、同賞は2018年はグリーンブック、2017年はスリー・ビルボードが受賞していて二つの作品も劇場で鑑賞してとても感動しました。

そんなこともあり、期待値はマックス。

以下、感想ですのでネタバレ含みます。ご注意ください。

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ジョジョラビットのワンシーン

冒頭の音楽

ビートルズの『 I Want To Hold Your Hand』をBGMにオープニングが始まります。

コメディということがオープニングのやり取りだけで分かる内容で、テンポがよく素敵な始まり方でした。
せっかくなので本記事のBGMにもどうぞ。

本作はところどころに音楽が差し込まれますが、そのどれもが映像にマッチしていて良かったです。
いい作品には、いい音楽は必須です。

戦争中のドイツ

ナチス式敬礼(ハイル・ヒトラー)が街に溢れていて、国は戦争一色。
10才の子供の目線で話が進む設定が新鮮で、街には国の政策に反対する人なのか分かりませんが首が括られて見せしめになっているシーンもあり、現実から目を背けない姿勢が感じられました。

戦争に反対な主人公の母親にも心打たれますが、じゃあドイツの人も戦争が好きで戦っているかというとそんなこともなく、祖国やそこに住む自分の子供を守るために戦っていたんですよね。空爆で瓦礫だらけの街の映像を見ながら、『日本もこんな感じだったんだろうな~』と考えてしまいました。

また、主人公の友達が『ヒトラーも自殺した。ソ連もイギリスも中国も敵で、仲間は日本だけ』とボソッと言うシーンにて館内にて笑いが起きていたのが印象的でした。

良かった点

映画を見ながら、自分が10歳の時のことに思いを馳せたり、究極の状態でも弱い立場の人を思いやれる強さを考えたり、とても有意義な2時間でした。

コメディ要素があったり話のテンポがいいからか、2時間があっという間でした。え?もう終わり?という感覚。ラストシーンで踊り出す様も、解き放たれた自由の喜びに胸が震えました。

本作ではライナー・マリア・リルケという詩人が話題に挙がり、エンドロール直前「すべてを経験せよ。美も恐怖も生き続けよ。絶望が最後ではない(Let everything happen to you: beauty and terror. Just keep going. No feeling is final. )」という彼の言葉で締まります。ジョジョの経験が、悪魔と教えられていたはずのユダヤ人なんて存在せず、目の前にいる女性は自分と同じ人間だと気づく流れは良かったです。

微妙だった点

あえて言うならイマイチな点もあります。

この映画を見た人に物語の盛り上がりはどこですか?と聞くと

  • 母親の死
  • キャプテンKの死

が候補に挙げると思います。

戦時中でも子供を明るく快活に守り、ユダヤ人だからといって差別をしない母親、そして命の瀬戸際にいても一人の子供を守る行動を貫いたキャプテンK、どちらも素敵な大人で、どちらも亡くなってしまいます。

そこが物語の波に使われるのは、少し残念ポイントでした。

シーン自体は自然でしたが、ミスターチルドレンの曲の歌詞にもある

駄目な映画を盛り上げるために簡単に命が捨てられていく

というフレーズが一瞬頭をよぎりました。

本作、キャプテンK(サム・ロックウェル)が一貫してふざけたいいおじさんで痺れました。

全体を通して

「外は危険?」「とってもね(Extremely)」というやり取りに始まり、そのやり取りで締まる、バランスのとれたいい映画だったとは思います。そして、詩人リルケの「Let everything happen to you」というフレーズは気に入りました。

ただ個人的には、実話のパワーを持つ「グリーンブック」や、感情をえぐりながらもシリアスな笑いをぶっこんでくる「スリービルボード」には少し及ばない印象でした。アカデミー賞最有力候補!というタレコミのせいで、変にハードルがあがったからかもしれませんが。

トータルでは80点くらい。そこそこおススメ。こんな感じで、今年もたくさん映画を見てレビューしていきたいものです。