はじめに
社会人生活も板についてきましたが、大学生時代のことを思い出すと『ゲームなんて作って何になるの?』と聞かれて答えれなかった苦い記憶が浮かびます。
承認が必要な時間割
私が入った大学の学科は学生一人一人にアドバイザーと呼ばれる同大学同学科の教授が割り当てられ、時間割や研究室選びの相談に乗ってもらえる制度がありました。
当時、新入生が時間割として講義数を詰め込みすぎることで結局どっち付かずになって留年してしまう、そんな学生が続出していることがその学科では問題になっていました。
それを防ぐために学生課が定めたルールがなんと、『アドバイザーの教授に時間割にハンコを貰わないと時間割を申請できない』というなんともイケてない仕組みでした。
要は、時間割に関してはしっかり教授と話し合って無理のないものを作成しなさい、と。
新入生の私は別のアドバイザーと既に面談したクラスメイトの人から「20コマ以上だとハンコを押してもらえなかった、気を付けて」などとアドバイスをされ、びくびくしながら乗り込みました。
時間割は置いといて...
メールでアポを取り、指定の時間にノックすると、研究室の秘書さんに席に通されます。大学教授の部屋、いわゆるボス部屋ってこんな感じなんだと眺めていると、教授登場。
教授に時間割を手渡すと、その教授は時間割をサラッと見て特に何も言わずにハンコを押してくれました。
なーんだ、口うるさい人じゃなくて良かった とホッとしているといきなり
なんでこの大学、この学科に来たの?
と聞かれました。
面喰いましたが、当時の思いをそのままに
任天堂に入ってゲームを作りたいと思い、この学科の卒業生が就職していることを知ってこの学科を選択しました
と真面目なフリして返すと
ゲームを作ってどうなるの?最近は小さい子供がゲームばかりしていて勉強をしないことが社会問題になってるよね?
とサラッと返されす。
いきなり否定されて戸惑いながらどもっていると
いやいやOOくん(僕の苗字)、そこは「先生何言ってるんですか、人間に娯楽を与えないことによる悪影響は既にこういう研究で立証されていて、ましてや人間だけにとどまらずチンパンジーにも同様の研究結果が出ているんですよ?手作業の仕事が機械化していく未来を考えると、余暇の時間をより有意義に過ごす娯楽の一つであるゲーム産業で働きたいじゃないですか」とかそれくらい言って欲しいな
とつまらなそうに返されました。
別にいじわるで人の志望動機にいちゃもんをつけたわけではなく、私が如何に論理的なのかを計ろうとしていただけなんだろうな~と後になって気づくという。あー、情け無い…。今思い返してもキレが無さすぎて笑えます。
某教授、お世話になりました
任天堂への興味を失ってしまい今はまったく別の企業に所属していますが、この教授との問答がきっかけで大学時代はより論理的思考を深めることに注力できたと思っています。
ワンシーンで見れば苦い思い出ですが、物事への向き合い方が変わったありがたい体験でした。